諸行無常
タイルコラム
2022年05月24日
常滑は古くから焼き物の町として栄え、日本の六古窯のひとつに数えられるほど歴史があります。そんな歴史ある常滑にて、江戸時代に創業した東窯(とうよう)工業の工場が、近々老朽化により取り壊されるというので伺いました。工場内には趣のある建物が多く立つため、この風景がまた失われてしまうのかと悲しい声が聞かれる中、特に惜しまれているのが見本室のタイルです。
カラフルで美しいパターンが並ぶ。とても約100年前のものとは思えません。
タイルを製作していたのは大正から昭和の初めで、この見本室も1920年代に建てられたものです(タイル生産時の社名は「杉江製陶所」)。床には色とりどりの無釉モザイクタイル、腰壁には泰山タイルを思わせる布目の窯変施釉タイルが張られていました。
腰壁には泰山タイルのようなものも。当時、京都陶磁器試験所で学んだ社員もいたとのこと。
当時のテストピースでしょうか。
「杉江製陶所 満州代理店」戦前日本が満州へ進出した頃のものだろうとのことです。結局使用されず保管されていました。
今後、こちらの見本室は取り壊されてしまいますが、タイルだけでも残したい!と解体費用をクラウドファンディングで募る予定です。応援していただける方がいらっしゃったら、以下リンクから詳細ご確認ください。よろしくお願いいたします。